不忍池辯天堂(しのばずのいけべんてんどう)
東京・上野の不忍池のほとりにある弁天堂は、1625年(寛永2年)、天台宗の僧・「天海」により建立されました。
徳川家康・秀忠・家光の三代の将軍に深く信任された天海は、京都の鬼門を守る比叡山延暦寺に倣って、上野に東叡山寛永寺を、不忍池を琵琶湖に見立て、琵琶湖の竹生島宝厳寺の弁才天を勧請して弁天堂を建立しました。
当初は橋がなく、弁財天への参拝は船で行われていましたが、寛文10年頃に橋が架けられました。
天海は吉野山から桜を上野に移植したので、しだいに上野は桜の名所となりました。その後不忍池には蓮が植えられて、今も春は桜、夏は蓮の名所として多くの人々が訪れます。
辯天堂は、1945年3月の東京大空襲で焼失してしまいましたが、ご本尊の辯財天は無事で、1958年に鉄筋コンクリート造りの八角堂が完成し、現在に至っています。
八臂辯才天(はっぴべんざいてん)
ご本尊は、音楽と芸能の守り神でもあり、金運上昇の神様でもある辯才天です。
辯才天は楽器の琵琶を持つ姿が一般的ですが、こちらの辯才天は八臂(八本の腕)の辯才天で、左手に弓、刀、斧、羂索、右手に箭、三鈷戟、独鈷杵、鉄輪など、煩悩を破壊する道具、武器を持つお姿です。
ご本尊の辯才天は一年のうち「巳成金大祭」の時のみ一般公開され、お姿を拝することができます。
境内には大きな琵琶の像もあります。
江戸時代後期には庶民の間で七福神詣でが流行し、不忍池の弁才天は、恵比須(青雲寺)、大黒天(護国院)、毘沙門天(天王寺)、寿老人(長安寺)、布袋(修性院)、福禄寿(東覚寺)とともに「谷中七福神」として人気を集めました。
宇賀神(うがじん)
弁天堂の建物の手前に、頭は髭男性・体はどぐろを巻いた蛇姿の「宇賀神」様が立っています。2018年の秋から、この場所に祀られているとのことです。
宇賀神は辯才天との習合体とも言われており、不忍池弁天堂のご本尊の辯才天の頭の上にも宇賀神が鎮座しています。ご利益は「招福、蓄財、開運」です。
日没後はライトアップされていました。
様々な石碑
境内には様々な石碑、供養塔が見られます。
「ふぐ供養碑」
「めがね之碑」
「包丁塚」
「鳥塚」
「すっぽん感謝之塔」
「お地蔵様」
「手水舎の龍」
四季の花々
八角堂の裏手に回ります。
先に進むと、上野恩賜公園ボート場があり、スワンボートや、手で漕ぐタイプのボートに乗れます。
その先は不忍池の中を湯島方面へ抜ける参道になります。
初夏はツツジとアジサイ
不忍池の桜
道の両側は桜並木です。
夕暮れの風情
不忍池の蓮
見頃は7月中旬~8月中旬。
おわりに
桜や蓮の花の時期に見物に訪れるのはもちろん、上野公園や上野動物園、美術館、博物館に立ち寄ったのに併せて参詣するのがお薦めです。不忍池は様々な水鳥、野鳥も多く生息しており、都会の真ん中とは思えない、四季折々の自然の景観を楽しむことができます。
アクセス
住所:東京都台東区上野公園2-1
JR・地下鉄上野駅・湯島駅から徒歩6分。京成上野駅から徒歩4分。または東西めぐりんバス 不忍池(弁天堂)下車徒歩2分。
TEL:03-3821-4638
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