鵜戸神宮
海食洞(波による侵食で出来た洞窟)の中に本殿がある珍しい神社です。
宮崎県の日向灘の海岸にある、鵜戸崎と呼ばれる岬にあります。
祀られているのは彦波瀲武盧茲草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)です。
鵜戸神宮は山幸彦・海幸彦の伝説の舞台となった場所として知られており、山幸彦の子を身ごもった豊玉姫の出産のために用意された産屋が、今は鵜戸神宮本殿が建つ洞でした。
ご利益は縁結び、安産、夫婦和合、育児、海上安全。
崇神天皇の時代の創建と伝えられ、第五十代桓武天皇時代に、天台宗の僧、光喜坊快久が勅命により再建した神社です。
参道
楼門をくぐって本殿へと向かう参道は、右手に日向灘を見下ろす断崖の上に続きます。
鵜戸神宮の神使は、「ウサギ」です。鵜戸神宮の「鵜」が「卯」から「兎」へと転じたものとのこと。参道には兎の石像がいくつも見られます。
千鳥橋を渡り、さらに玉橋を渡ります。
本殿の建つ海蝕洞へと急な石段を下りてゆきます。
多くの神社が階段を上って参拝するのに対して、階段を下りて参拝する全国的にも珍しい神社で、群馬県富岡市にある貫前神社(ぬきさきじんじゃ)、熊本県阿蘇郡高森町にある草部吉見神社(くさかべよしみじんじゃ)と並ぶ日本三大下り宮の一つです。
本殿
切り立つ断崖にある洞窟の中に建つ赤い社は独特な雰囲気と存在感です。
本殿の周囲を、向かって左手に進みます。
さらに進むと皇子神社。
そして九柱神社が在ります。
「撫でうさぎ」
ウサギの像を撫でると、病気平癒や開運、飛翔などの願い事が叶うといわれています。
お守りにも兎
さらに進むと、本殿の裏になり
さらに進むと洞口の入口が見えてきます。
お乳岩(おちちいわ)
豊玉姫が生まれた子を残して海原の国へ帰ることになった際に、両乳房を岩窟にくっ付けて残して行ったとされる伝説の岩が「お乳岩」です。
豊玉姫は出産の時には本来の「ワニ」の姿に戻らなくてはならず、「出産の際は産屋の中を覗かぬように」と豊玉姫は山幸彦に言ったのに、山幸彦は中を覗いてしまいました。醜い姿を見られたと悲しんだ豊玉姫は海原の国へ戻ってしまいます。そのときに、姫が子のために乳房を置いていったという伝説です。
お乳岩から滴る清水で練った飴によって鵜葺屋葺不合命は育ちました。今も「お乳飴」は、鵜戸名物として売られています。
「お乳岩」を触ったり、「お乳飴」を舐めると母乳の出がよくなるなどといった言い伝えがあり、出産前後の母親やその身内の人たちがお詣りに訪れ、飴を買い求める姿が昔はよく見られたものだったそうです。お乳岩は今も絶え間なく岩しみずを滴らせています。
一人で子を育てる山幸彦をみかねて、豊玉姫は妹の玉依姫を乳母として地上に送ります。
そして、成長した鵜葺屋葺不合命は玉依姫を妻とします。その二人の間に生まれたのが日本の初代天皇、神武天皇です。
運玉
本殿前の崖下に豊玉姫が出産のために乗ってきたといわれる亀石があります。
その岩の背中のくぼみに男性は左手、女性は右手で願いをこめながら運玉を投げ、うまく入れば願いが叶うといわれています。
運玉は洞窟の入り口にある「運玉授与所」買い求めます。1回につき5個です。1954年までは、素焼きの玉ではなく、お金を投げ入れていたといいます。
本殿前には崖、亀石の周囲、海辺には様々な形状の岩がならんでいて、「山窟前の嚴岩」と呼ばれていて、迫力のある景観です。
おわりに
約300坪の天然の洞窟の中にある、朱塗りの色鮮やかで荘厳な神社は県指定有形文化財となっています。
美しい景勝地、奇岩の連なりと荒波を見ながら、崖を階段のはるか下のほうに降りると、社殿があるというのも珍しい形です。
平成29年に鵜戸神宮一帯が国の名勝「鵜戸」に指定されました。
神宮の入り口には、お洒落なカフェやお土産屋も並んでいます。
アクセス
住所:〒887-0101 宮崎県日南市大字宮浦3232
宮崎からバスで60分(宮崎交通日南海岸鵜戸神宮下車)
伊比井駅からバスで15分
油津駅から バスで30分
TEL:0987-29-1001
4月~9月:午前6時~午後7時 、10月~3月:午前7時~午後6時
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