化野念仏寺
嵯峨野の奥に位置する化野(あだしの)地区にある「化野念仏寺」。「あだし」とは、仏教の言葉で「はかない、むなしい」という意味があります。
このあたりでは昔から葬送の地で、死者を風葬する習慣がありました。「弘法大師」が無縁仏を弔うために「五智山如来寺」を建立し、後に「法然上人」が念仏道場としました。境内には無数の石塔石仏が並びます。
正式名称は「華西山東漸院化野念仏寺」。
化野念仏寺の入り口。
西院の河原
境内には8,000体を越える石仏・石塔があります。多くは、葬られた人々のお墓です。
野ざらしになっていた亡骸を憐れんで、化野の地にお寺を建てたのが「空海」です。風葬から土葬になったころから、人々がこの地に石仏を立てるようになりました。
何百年という年月を経て無縁仏となり、化野の山野に散乱埋没していた石仏を、明治中期に、地元の人々の協力のもとに集められました。釈迦の説法を聴く人々の姿になぞらえて並べられているといいます。
この無縁仏にローソクをお供えする千灯供養が、毎年8月22日の夕刻より行われます。
仏舎利塔
境内に入り左手に進むと、「仏舎利塔」があります。仏舎利(釈迦の遺骨)を納めるための施設で、仏舎利塔の内部は 納骨堂になっています。「念仏寺住職・原弁雄師」がインドの「サンチー僧院の大僧正」と親交を深め、サンチー僧院と同形の舎利塔が建立されました。
本堂
江戸時代の1712年、「寂道」により現在の本堂が再建されました。本尊として「湛慶(運慶の長男)」作といわれいる「阿弥陀如来坐像」が祀られています。
地蔵堂(延命地蔵尊)・水子地蔵
境内には幾体もの地蔵尊が祀られています。
求めに応じて様々な姿に変え悪いことや病気から守ってくださるという「延命地蔵尊」。
水子を供養する「水子地蔵尊」。
化野念仏寺の水子供養は毎月24日 14:00より(約30分)本堂にて行われます。
竹の小径
霊園墓地へ上がる参道です。竹林の中を上る階段沿いには小柴垣が続き、約50mの美しい竹の小径になっています。
よく手入れがされており、竹林の多い嵯峨野の中でも、特に綺麗だと評判です。
六面六体地蔵
「竹の小径」を上りきると、霊園墓地に着きます。その一角に「六面六体地蔵」が祀られています。
人間は六道を巡り生まれ変わると信じられていました。六道とは、「地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天道」と呼ばれる世界です。この「六面六体地蔵」の各面には、六道にいて人々に救いの手を差し伸べている地蔵様が彫られています。
天道の地蔵様から時計回りに六体のお地蔵様をお参りをしていきます。「六面体地蔵」の足元に置かれた柄杓を使って、時計回りで天道から人道へとお水を掛けて行きます。
苔の美しい境内
境内はいたるところ苔に覆われ趣があります。
境内には「天満宮」も祀られています。
おわりに
観光客に人気の嵯峨野ですが、その奥にあるお寺です。
苔や竹の緑、秋の紅葉も美しく、素朴な石仏、石塔との対比も趣があります。
化野念仏寺に続く嵯峨野の街並みも雰囲気があります。
アクセス
〒616-8436 京都府京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17
JR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅、京福電鉄「嵐山」駅下車 徒歩約30分
JR「京都」駅、京阪「三条」駅から京都バス乗車、「鳥居本」バス停下車、徒歩約5分
TEL 075-861-2221
大人 500円、中学、高校生 400円、小学生以下(保護者同伴に限る) 無料
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