大神神社
「大神」と書いて「おおみわ」と読み、『古事記』や『日本書紀』に記される日本最古の神社といわれています。
大神神社には本殿がありません。ご神体は拝殿の背後に広がる「三輪山」そのものだからです。
「三輪山」は、ご祭神である「大国主神(おおくにぬしのかみ)」が、三輪山の頂上にある「磐座」に祀られることを望み、神の宿る山として太古より崇められてきた聖地です。
「大神神社」を知ったきっかけは、このJR東海のTVCM
拝殿
神社に拝殿のみで、本殿がないのは、後方にそびえる三輪山が御神体だからです。人々は拝殿の奥にある「三ツ鳥居」を通して山に向かって拝みます。
「大国主神(おおくにぬしのかみ)」は国造りの神様として、産業、 方除(ほうよけ)、治病、造酒、製薬、交通など、人間の生活全般の守護神として信仰されています。
国道169号線沿いに、高さ約32mの巨大な「大鳥居」が立っています。車で訪れると、この鳥居をくぐることになりますが、最寄りのJR三輪駅で降りて参拝するする場合は、大鳥居をくぐりません。
電車やバスで大神神社を訪れると、こちらの「二の鳥居」からの参拝になります。
鳥居をくぐると、清浄な空気と樹木に守られた長い参道が続きます。
さらに進み階段を登ると、間もなく拝殿が現れます。
大神神社の「手水舎」は蛇神の口から水を吐いています。ご祭神の「大物主神」が蛇神で、酒造りの神のため、蛇が宝珠を抱え、三本杉の神紋のある酒樽に巻きついている姿です。
巳の神杉(みのかみすぎ)
拝殿の右手前に「巳の神杉」と呼ばれる杉の巨木が聳えていてます。「大物主大神」の化身とされる「白蛇」が棲むことから名付けられた、樹齢500年とも言われるご神木です。
根元の洞に白蛇が棲み願い事をかなえてくれるといわれていて、好物の卵とお神酒が供えられています。
この日、参道脇の石垣に白蛇の姿がありました。
狭井神社
大神神社の摂社である「狭井神社(さいじんじゃ)」(正式には「狭井坐大神荒魂神社」)。
主祭神は「大神荒魂神(おおみわのあらみたまのかみ)」で、病気を鎮める神様です。
狭井神社の拝殿手前に「三輪山の登拝口」があります。
大神神社のご神体「三輪山」は、神さまの鎮まる神聖なお山であり、禁足の山としてかつては入山が厳しく制限されてきましたが、近代に入り、一般人も三輪山への入山が可能となりました。
しかし、お山は約400mの高さで、登拝に要する時間は2~3時間かかります。お年寄りや子供でも登ることは可能なお山ですが、急な勾配もあって、怪我人が出る例もあり、登拝には気力、体力、信心が必要です。
なお、この鳥居をくぐると、お山では写真撮影はいっさい禁止・飲食も禁止です(水分補給の水のみ可です)。
登拝するには、狭井神社にて受付して説明を受けてからです。名前・住所・連絡先を記載後、「三輪山参拝証」を受け取ります。
下山時に返却。登拝料300円、受付9時~14時 下山は16時までです。
一年にいく日か、登拝禁止日があります。
大神神社の「祈祷殿」を過ぎると「くすり道」があります。この道を進むと病気平癒のご利益のある『狭井神社』に続きます。製薬会社の協力のもと、薬木や薬草などが植えられています。
「くすり道」から「狭井神社」までは約5分ほどで着きます
昭和41年6月、「三島由紀夫」は古神道研究のため、大神神社を訪れました。三島由紀夫の長編小説「奔馬(豊饒の海 第2部)」に、この神社が登場します。
狭井神社の鳥居をくぐり参道を進むと、鎮女池(しずめいけ)のほとりに、三島由紀夫氏の石碑が建てられています。石碑の「清明」の文字は三島由紀夫の揮毫によるものです。
狭井の御神水
拝殿の左後ろ側にある薬井戸の水「狭井の御神水」は様々な病に効くとされており、自由に汲み持ち帰ることができます。三輪山に登る人たちは、こちらで汲んでから登拝に向かいます。常に多くの人がこの御神水を求めて訪れています。
御神水は三輪山からの湧きで出たものです。
末社・摂社
祓戸(はらえど)神社
二の鳥居から拝殿に向かう参道の左側に在ります。「諸々の罪、穢れを祓う神様を祀ります」とあり、拝殿に至る前に、こちらで心身共に清らかになって参拝します。
御祭神は「瀬織津姫神(せおりつひめのかみ)」「速秋津姫神(はやあきつひめのかみ)」「気吹戸主神(いぶきどぬしのかみ)」「速佐須良姫神(はやさすらひめのかみ)」の四柱です。
夫婦岩
祓戸神社からさらに進むと在ります。
二つの岩が夫婦のように寄り添い、ご利益は縁結び・恋愛成就・夫婦円満です。
三輪山説話にある、「大物主大神」と人間の女性「活玉依姫」の恋の物語からきているとのことです。
参拝者が掛けた、縁結びを願う絵馬が夫婦岩の手前にあります。
磐座(いわくら)神社
「くすり道」を通り、「狭井神社」に向かう参道の右側に在ります。
御祭神は「少彦名神(すくなひこなのかみ)」。「大物主大神」と共に国土を開拓し、人間生活の基礎を築き、医薬治病の方法を定めた薬の神様とのことです。
社殿はなく、神様が鎮まる岩、「磐座」のみが神座として祀られています。
市杵島姫(いちきしまひめ)神社
「狭井神社」の鳥居をくぐり進むと左側、「鎮女池(しずめいけ)」の畔に在ります。
御祭神は「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」、海の神様、水の神様で、芸能の神様、弁天さんとしても親しまれていて、金運のご利益もあるとされます。
鎮女池(しずめいけ)の畔には休憩できるベンチもあります。池に架かる赤い橋を渡ってお詣りします。
活日(いくひ)神社
御祭神は「高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)」。
崇神天皇に命じられ、「大物主大神」にお供えする酒を造った「高橋活日命」。杜氏の祖先神として酒造関係者から篤く信仰されています。。
拝殿から山の辺の道を北に少し行き、右手にある石段を登ります。
神宝(かんだから)神社
御祭神は「家都御子神(けつみこのかみ)」「熊野夫須美神(くまのふすみのかみ)」「御子速玉神(みこはやたまのかみ)」。
熊野三山の神々が祀られており、神社名の通り、お宝・財物を守護する神として信仰されています。
拝殿に向かって右手方面、少し進むと在ります。
久延彦神社(くえひこじんじゃ)
御祭神は「久延毘古命(くえびこのみこと)」。
「古事記」に世の中の事をことごとく知っている智恵の神様と記されている神様で、受験合格・学業向上のご利益のため、受験の時期には特に多くの参拝客が合格祈願に訪れます。
受験・進学・就職等の成就を祈願した「願掛け絵馬」が数多く見られます。
「大神神社」のご神体「三輪山」を拝める「神山遥拝所」も境内にあります。
きよめの滝
滝の水に打たれ心身を清める修業、滝行のできる場です。
滝の傍らには石仏の不動明王が祀られています。
参道を「狭井神社」に曲がらず通りすぎて、この看板が見えたら、ここを右折し、細い道を進みます。
道の途中には、いくつかの石祠や素朴な石仏が祀られています。
さらに進むと、「きよめの滝」に着きます。
おわりに
多くの参拝客が訪れる人気の大神神社ですが、やはり御神体である三輪山の頂上まで登拝するのがお勧めです。
また、拝殿は早朝に訪れると参拝客も少なく、ゆっくり落ち着いて参拝できます。
早朝の大神神社、拝殿。
「二の鳥居」前にはいくつもの飲食店が軒を連ねています。
このあたりの名物「三輪そうめん」と「柿の葉寿司」をいただきました。
アクセス
アドレス:〒633-8538 奈良県桜井市三輪1422
JR西日本万葉まほろば線(桜井線)「三輪駅」下車 徒歩約10分。
お問合せ 大神神社 TEL:0744-42-6633
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